2017年1月23日放送「しくじり先生」で
オリエンタルラジオの中田さんが、
宮沢賢治の小説「銀河鉄道の夜」の内容を
紹介し、その時に使用された
KAGAYAさんのイラストともに話題になっています。
@KAGAYAStudio @KAGAYA_11949 見てます! pic.twitter.com/BTJYFmnTQI
— アンジェラ (@chamaru1848) 2017年1月23日
「銀河鉄道の夜」あらすじ
「銀河鉄道の夜」の主人公は、
十代初めの少年と思われるジョバンニです。
ジョバンニのお父さんは漁師で
遠洋漁業に出たままもどらず、そのことで
「ジョバンニ、お父さんがラッコの毛皮をもってくるよ」
とからかわれています。
お母さんは病気で寝ており、
ジョバンニは、放課後は活字拾いのアルバイトをしており、
授業中は、ぼーっとしていることがあります。
星まつりの日、ジョバンニが家に戻ると牛乳が届いておらず、
取りに行くと、担当者がいないので明日また来てくれ、と言われます。
そして町に戻ったジョバンニはいじめっ子のザネリにからかわれ、
丘の上に行きひとりで星空を眺めていると
気が付くと空を走る列車に乗っていました。
向かいの席にはカムパネルラがいます。
ジョバンニはカムパネルラと旅ができることを喜びますが、
でもカムパネルラの顔色は蒼く、
「おとうさん、おかあさんは僕を許してくださるだろうか」
と言います。
タイタニック号事件も登場
「銀河鉄道の夜」には
宮沢賢治が16歳の時に起こった
タイタニック号事件をもとにしたエピソードも
あります
ある駅でたくさんの人が乗ってきて、
その中の、家庭教師の青年、かおる子、ただし
の3人連れと、
ジョバンニ、カムパネルラは話をします。
が、ジョバンニは、カムパネルラが
かおる子と親しそうに話すことに嫉妬心を
覚えます。
青年は、どうにかして預かっている子どもたちだけは
助けようと、人を押しのけてでも
救命ボートに乗せようとしますが、
本当の幸せとは何だろうか、と考え
結局沈む船に残ったのだ、と語ります。
そして南十字で載ってきた人々はみな下車し、
天上に向かっていきます。
車内には再びカムパネルラとジョバンニだけが残ります。
ジョバンニは「僕たちはどこまでもいっしょだよね」
というのですが・・・
気が付くとカムパネルラもいなくなっていました。
「銀河鉄道の夜」の最後
ジョバンニは丘の上で目を覚まし、
町に戻ると川にひとだかりがしていました。
そこで同級生に
ザネリが川に落ちて、カムパネルラがそれを助け
「でも、その後カムパネルラが見えないんだ」
と聞かされます。
その後、ジョバンニはカムパネルラの父親に会い、
ジョバンニのお父さんから大変元気な便りがあったから
近く帰ってくるだろう、と聞かされます。
自己犠牲
カムパネルラがザネリを助けて死んだこと、
かおる子たちが、他の人を救命ボートに載せて死んだこと
旅の途中で出てくるサソリの話
(サソリのエピソードは宮沢賢治の「よだかの星」にも似ています)
など「銀河鉄道の夜」には自己犠牲による他者への献身、
というテーマが繰り返し登場します。
このテーマは宮沢賢治の他作品「グスコーブドリの伝記」にも
見られます。
それでも本はとっつきにくいなという人へ
または、
小説は読んだことがあるけれど
映画は見たことがない、という人におすすめ。
1985年制作のアニメーション映画ですが、
ますむらひろしさんの漫画がもととなったキャラクターデザインで、
劇中のタイタニック号事件をモチーフとしたエピソードに出てくる
青年、かおる子、ただし以外はすべて擬人化されたネコになっています。
ネコにしたことには賛否両論あるそうですが、
生々しさがなくなって、どの国の話ともつかない、
寓話という側面が際立ち、個人的には効果的だ、と思います。
原作も、ジョバンニ、カムパネルラなど「イタリア?」と思わせるような名前を
使いながら、どの国の話、というわけでもありません。
映画では、文字が画面に出てくるときにはエスペラント語(人工の世界共通言語)
になっていました。
細野晴臣さん作曲の音楽も美しく、
今でもドキュメンタリー番組のBGMに一部が使用されて
いたりすることがあります。