2月20日放送「世界一受けたい授業」で
病気になる人、ならない人を分ける 夢の物質「LPS」とは?
として、杣源一郎(そま げんいちろう)先生が
免疫のビタミンLPSを紹介します。
この放送内容については放送後「トンデモ」という批判が多くありました。そちらについては別記事にまとめました。
CONTENTS
LPSとは?
LPSは、リポポリサッカリドまたはリポポリサッカライド、といい、
リポ(lipo) 脂質
ポリ(poly-) 多い
サッカライド(saccharide) 糖類
という意味で、「糖脂質」という多糖類の1種です。
LPSをちょっと検索してみると
グラム陰性菌の表皮である
という説明が出てきます。
グラム陰性菌は、デンマークの医師グラム(H. Gram)が1884年に考案した細菌類の染色法によって染まらない細菌類です。
(逆に濃紫色に染まるものをグラム陽性菌と言います)
具体的にはどういうものがグラム陰性菌かというと、
身近なものでは大腸菌です。
LPSはこのグラム陰性菌の表皮を構成しています。
LPSがどうして免疫力のアップと関係するの?
LPSは、人間の体内では、
免疫細胞であるマクロファージの活性化物質として働きます。
LPSが体内に入ると、マクロファージがLPSをとらえると、その情報がヘルパーT細胞に伝えられます
細菌(に由来する物質)が入ってきた、という情報を伝えられたヘルパーT細胞(Th)は
細菌・ウイルスに対応するTh1に変化し、マクロファージを活性化します。
ヘルパーT細胞は、マクロファージから花粉やハウスダストの情報が伝えられるとTh2に変化し、
IgE抗体が増えてアレルギー反応が起こりやすくなります。
Th1とTh2には、相互に抑制しあう性質があり、
Th1が増えるとTh2はヘリ、本来反応しなくてよい花粉などに対するアレルギー反応が減ります。
つまり、LPSを摂ると、
Th1が増えて細菌やウイルスへの抵抗力が高まり、
一方でTh2が減ってアレルギー症状が治まるのです。
LPSを摂れる食べ物ベスト3とは?
子どものころ、家畜のいる環境で育つと、家畜の排せつ物に含まれる大腸菌に接触する機会が増え、
Th1優位の免疫系になりアレルギーが起きにくくなる、という説がありますが、
だからといって、やたらに大腸菌に接するようなわけにはいきませんよね。
実は、植物と共生している菌の中にもグラム陰性菌があり
(小麦と共生するパントエア菌など)
本来は、野菜や果物にも細菌由来のLPSがついています。
また発酵食品に含まれる酢酸菌もグラム陰性菌でありLPSを持ちます。
それらのものを食べていれば、自然とLPSが体の中に取り込まれていたのです。
番組で紹介されたLPS多く含む食品は
1位 玄米
2位 めかぶ
3位 レンコン
<LPSを比較的多く含む食品>
ただ、これらの数値も、
例えばお米であればお米の農法によってもLPSの量は変わるので、一概には言えません。
海の中で育つ海藻類は農薬や肥料が使われていないため、一番LPSが摂りやすいです。
穀物のLPSは皮についているので、精白したものよりも、
玄米や全粒粉の方が多くなります。
また、最近は発酵食品の健康作用が見直されていますが、
意識的に摂らないと、食べる機会は少ないのではないでしょうか。
醤油、酢、味噌などの発酵調味料は、伝統的な製法で作られたものを選ぶとよいでしょう。
また、小麦由来などのLPSを摂るためのサプリメントも開発・発売されていますね。
免疫力に差をつける免疫ビタミンLPSとは?どんな食べ物から摂ることができるの? まとめ
LPSは、グラム陰性菌という細菌(微生物)の表皮を構成している物質で、
人間の体の中に入ると、細菌・ウイルスに対応する免疫系が活性化され、
相対的にアレルギー反応を起こす免疫の働きが抑えられる、というのがこの授業内容。
子どものころLPSが体に入ってくる機会が多かった人や、
継続的に食べ物からLPSを摂っている、という人は、
インフルエンザにもかかりにくく、アレルギー症状を起こしにくい可能性があるのだそうです。
LPSはもともとは普通に食べている野菜、穀物、海藻についているのですが
近年は農法や食品加工技術の変化でそうした自然に食べるLPSが減っていることが考えられます。
発酵食品もLPSを持ちますので、伝統的な製法のものを積極的に食べたほうがいいということです。