2016年5月3日放送「林修の今でしょ!講座 3時間スペシャル」で
大阪シリル大学大学院医学研究科疲労医学講座特任教授である、
梶本修身先生が、
5月病を解消する「体を悪くする疲れ解消講座」
をレクチャーします。
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そもそも5月病とは?
5月の連休が明けた時期に、おもに、
新入生、新社会人、転勤や配置転換があった人などが、
無断欠勤や不登校に陥ることと、5月病といいます。
新しい環境におかれたことによるストレスから、
気分の落ち込みや意欲の減退などの抑うつ症状が現れるもので、
季節性感情障害(SAD)または適応障害の一種と考えられています。
ゴールデンウィークの連休明けに発症するのは、
続けて学校や会社が休みになることで、新しい環境に適応できないストレスから知事的に開放され、
連休明けに再びかかるストレスに対する拒絶反応が起って、無断欠勤・不登校のような症状が出やすくなるのです。
5月病と疲労の関係とは?
梶本先生は疲労のスペシャリストですから、
5月病を解消する方法として「疲れの解消方法」をレクチャーするわけですが、
新しい学校・職場などの慣れない環境では、どうしても覚えなくてはいけないことが多くなりますし、
人間関係も変わります。
そうした環境の変化に対応するために、
脳は多くの情報を処理し、疲労した結果、脳内の神経伝達物質の量が減り、
やる気が出ない、動きにくい、といった状態になるのです。
疲労因子”FF”と抗疲労因子”FR”
人が活動すると、体のあらゆるところで酸素を消費され、その過程で活性酸素が生じます。
この活性酸素が細胞にダメージを与えた際に発生するのが、老廃物から誘導されるたんぱく質で、
これを、疲労因子FF(ファディーグ・ファクター)と言います。
FFが蓄積すると細胞死が進み、免疫力の低下や生活習慣病の原因にもなると考えられていますが、
FFの発生は脳に伝えられ、それが「疲れた」と感じる原因となります。
一方で、FFが増加すると、疲労回復因子FR(ファディーグ・リカバー・ファクター)が発生し、
FFによって傷ついた細胞を修復します。
疲れてもすぐに回復する人と、長い間疲労が残る人がいるのは、
疲労因子FFに対する、疲労回復因子FRの反応性が高い人、低い人がいる、ということで、
一般的に、40才を過ぎるとFRの反応性は低下するといわれています。
疲労回復因子FRの反応性を高めるには?
疲労回復因子FRの働きを高める方法は、
質の良い睡眠をとる
鶏むね肉に含まれるイミダペプチドを補給する
ぬるめの湯で入浴し副交感神経の働きを高める
などがあります。
いびきが疲労回復を妨げる
疲労を回復するための一番の方法は睡眠なのですが、長い時間寝ることよりも、
質の高い睡眠をとることが重要です。
睡眠中いびきをかいている人は睡眠の質が低下しているので、
寝ているはずなのに疲れが取れない、ということになりがちです。
いびきをかいている状態は気道がせまくなり、通常の呼吸の数倍から10倍の運動負荷がかかっているといわれます。
また気道が狭いため、呼吸によって取り込まれる酸素量が減って心拍数が上昇し、
交感神経が優位になるため、
副交感神経のはたらきが弱まる=疲労回復物質FRのはたらきが弱まる
ため、疲れがとれない、ということになるのです。
熱い風呂は逆効果
疲労回復には、シャワーだけではなく、湯船に入ることが勧められますが、
熱い湯に入るのは疲労回復因子FRの反応性を高めるには逆効果です。
熱い湯に入ると交感神経が優位になり、副交感神経の働きが弱まるためです。
目から入る紫外線にも注意
5月にもなると日差しがかなり強くなりますが、
目から紫外線が入ると、活性酸素が発生して角膜で炎症が起きます。
また、交感神経の働きも高まるので、
サングラスで紫外線を防ぎ、疲れを軽減しましょう。