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災害時のエコノミー症候群の予防とは?

地震、台風などの災害で、避難所や自動車内などで何日も生活することが続くと、
エコノミー症候群を起こすことがあります。
エコノミー症候群を防ぐ方法についてまとめました。

エコノミークラス症候群とは?

エコノミー症候群(エコノミークラス症候群)とは、
急性の静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)のことです。

もともとは、航空機の狭いエコノミークラス席で長時間座っている乗客に起こりやすいことから
エコノミークラス症候群、エコノミー症候群と呼ばれています。

エコノミー症候群は、長時間の座位によって、下肢の血流が減少して、
下肢の深部静脈に血の塊=血栓ができて、
足を動かした際に、血栓が血流によって運ばれ、肺、心臓、脳などの血管を詰まらせて
肺塞栓、心筋梗塞、脳梗塞を起こし、突然死に至ることもあります。

エコノミークラス症候群

エコノミー症候群の原因

エコノミー症候群の原因は

長時間同じ姿勢で動きが少ないこと

体内の水分量が減り血液が濃くなること

などです。

災害にあったとき、避難所では1人当たりのスペースが少なかったり、外に出ることができずに動かないでいたりします。
また、トイレの数が少なかったり、なかったり、ということで、できるだけトイレに行かないように飲み物を控えがちです。
季節によっては湿度が低いことも、体内水分量が少なくなる原因となります。

エコノミー症候群の症状

下肢の深部静脈に血栓ができると、
ふくらはぎなどが赤くなったり(変色)、腫れたり、むくんだりします。
「足が痛い」という症状が出ることもあります。

しかし、血栓の一部が血管の壁についているだけで完全に血管がふさがられなければ無症状のこともあります。

血栓が飛んで、肺の血管を詰まらせ肺塞栓症になると

息苦しさ・呼吸困難、胸の痛み、冷汗、動悸・頻脈、咳、失神・ショック、血のまじった痰

などの症状が出ます。

一番の兆候は下肢に出ますので、特に片方の足だけが赤くなったり腫れたりして来たら要注意です。

血栓ができてから一ヶ月後まで気が付かない、というケースもありますので、
上に上げたような症状があったら、すぐに循環器科などの専門医を受診するべきなのですが、
被災地の場合は医療関係者、保健所関係者に相談するなど、できるだけ早く対策を摂るようにしてください。

エコノミー症候群の予防

・できるだけ体を締め付けない服装をする、ストッキングは避ける

・定期的に(1時間に1回)足の運動やマッサージをする

・水分の補給に心がける

避難所や車中では「運動」は難しいかもしれませんが、
足首をぐるぐる回したり、足指でじゃんけんをするように動かすだけでも違います。

また座った姿勢では太ももが圧迫されて血流が滞りますので、足を上げたり、太ももの裏側を伸ばすストレッチをして圧迫を緩めてください。

トイレの問題があり、水分はなかなか取りづらいのかもしれないのですが、
血液をドロドロにしないためにできるだけ飲むようにします。
目安としては、1時間に100ml(コップに半分くらい)です。
コーヒー、紅茶、緑茶は利尿作用があるので避けたほうが良いです。

スポーツドリンクは体内の水分バランスを調えるので手に入ったら飲むとよいです。

車中泊では寝る姿勢に注意

自動車の中で寝泊まりする場合、座ったまま寝ると足が下の方になったままで血液が溜まりやすく、
また太ももやおしりに体重がかかって血管、リンパ管がつぶされているのでエコノミークラス症候群を起こしやすくなります。

フルフラットにできるシートであればシートを倒して寝る、
段ボール箱が手に入ったら足元に箱を置いてその上に足を上げて寝る、

など姿勢を工夫してください。

若い人でも危険性がある

東日本大震災の時などは、避難所にいる高齢者のエコノミークラス症候群が取り上げられましたが、
若い健康な人でも、2時間足を動かさないでいると足の血液の粘性が上がり(つまりドロドロになる、ということ)、むくみが出ることが分かっています。

若い人も長時間同じ姿勢のままでいない、水分を摂る、といった予防法を心がけてください。

エコノミー症候群のリスクが高い人

次のような人はエコノミー症候群のリスクが高いとされています

  • 40才以上の人
  • 妊婦、産後の女性
  • 肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病など生活習慣病を患っている人
  • 下肢の手術を受けた人
  • 腹部の手術を受けた人
  • 下肢静脈瘤がある人
  • ケガや手術をしたばかりの人
  • 抗がん剤を使用している人
  • 血栓症を起こしたことがある人
  • 経口避妊薬・ピルを服用している人

エコノミー症候群の治療

下肢の腫れが出る、などエコノミー症候群の症状が出てしまったら、

血管外科を受診します。もしなければ外科に行きましょう。

息苦しい、動悸がする、などの全身症状があったら
心臓外科、循環器科を受診します。

治療は症状の程度により、薬の投与、カテーテル治療、外科手術によって行われます。



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