2016年9月23日放送「爆報!THEフライデー」では
「アプレゲール事件」として記録されている、
「光クラブ事件」とその中心人物であった山崎晃嗣(やまざきあきつぐ)を
取り上げます。
番組予告は、
東大史上最も天才と言われた男の大事件
金と女、欲望渦巻く光クラブミステリー
当時の映像と直筆のノートから謎を解く
となっていますね。
CONTENTS
光クラブ事件の概要
1948年(昭和23年)、東大生山崎晃嗣が社長となり、
日本医科大生三木仙也、他、東大生・中大らとともに、
中野区鍋屋横丁で、光クラブ、という貸金クラブを
始めました。
光クラブは新聞広告で資金を集め、
集めた金を月1割3分という高利で商店・企業などに貸し付ける、
今でいうところのヤミ金融のような実態で、
半年のうちに中野から銀座に進出し、翌年1949年には、従業員30名、資本金400万円
の会社となります。
(今の400万円じゃないですからね。かなりの金額です)
しかし、1949年7月4日、山崎は物価統制令違反容疑で逮捕されます。
9月には不起訴となって釈放されたのですが、
社長の逮捕により、会社の信用がなくなり、
394人の債務者が、約3000万円の出資金の
返済を迫る事態となりました。
会社は名称を変更して資金調達しようとしますが、失敗し、
株のカラ売りにも失敗。
山崎は、11月25日までに300万円を支払う、
としましたが、11月24日になっても金を作ることができず、
中央区銀座の本社社長室で青酸カリを飲んで
自殺しました。享年26歳でした。
アプレゲールとは?
アプレゲールは、フランス語で、「戦後派」を意味する言葉です。
第一次世界大戦後のフランスで、
それまでの道徳・規範に囚われない文学・芸術運動に
対して使われていた言葉ですが、
第二次世界大戦後の日本は、
戦前の価値観や権威が完全に崩壊し、
無軌道になった人間(主に若者)による
劇場型や遊び型の犯罪が多く起こり、
そうした犯罪をアプレゲール犯罪と呼びました。
山崎晃嗣とは?
山崎晃嗣1923年、千葉県木更津市にて
父は医師で木更津視聴を務めたこともあり
母は音楽家、という名家に
5人兄弟の末っ子として生まれました。
1日に15、6時間という猛勉強をして
一高→東大法学部に進学しましたが、
学徒出陣によって陸軍主計少尉に任官し、
終戦時は北海道旭川市の北部第178部隊の糧秣委員となっていました。
その際、上官の命令により食料を咽頭しますが、
密告によって横領罪で懲役1年6ヶ月・執行猶予3年となりました。
この際、検察に暴行されたことや、
上官が事前に約束した分け前を出さなかったこと、
戦時中、上官のリンチによって同級生をなくした
ことなどが、
山崎の人生観に影響しているといわれます。
東大に復学した後は、前人未踏の「全優」を目指して
1日の行動を30分刻みでスケジューリングし
またすべて記録していました。
勉強=有益時間、
恋人の女性と付き合っている時間=女色時間
空想などぼーっとしている時間=無益時間
などの区分があったそうです。
全優を達成することはできませんでしたが
20科目中3科目だけが良で、
山崎自身は、評価は教授の嗜好や気まぐれだ、
とばかばかしくなった、と日記に書いています。
光クラブを作る木脚気となったのは、
1948年の秋に、山崎が訪れた金融会社で
日本医大生の三木仙也と知り合ったことです。
山崎晃嗣直筆ノートとは?
2007年、光クラブを始める前に書かれた
山崎の日記、大学ノート3冊分が発見されました。
1946年3月から約1年半分のことが書かれているのですが、
これは、山崎が終戦の際に横領罪で実刑判決を受けた後、
釈放されて家に戻ったころに当たり、
自分に食料隠匿を命じた上官への恨みや、投獄時のことなどが
書かれています。
1946年3月24日の日記は、次のような書き出しになっています。
楽しいから生きてゐる
楽しみがなくなり苦しみが生じたら死ぬばかりである
生命などといふものは要するにつまらないものである
光クラブ事件をモデルとした小説 ドラマ
【小説】
【ドラマ】
1979年8月~9月(毎日放送制作・TBS系放送)
高木彬光シリーズ 白昼の死角
鶴岡七郎:渡瀬恒彦 (主演)
隅田光一役(山崎がモデル):山本圭
1981年(NHK連続ドラマ)
蒼い光芒
山崎役:根津甚八
2010年4月9日-4月11日(フジテレビ
わが家の歴史
光クラブ事件を主に描いた作品ではありませんが、
エピソードとして、光クラブをモデルにした太陽クラブが登場し、
山崎をモデルにした宮崎正志を岡田将生が演じました。
東大の黒歴史「光クラブ事件」と山崎晃嗣とは?「爆報!THEフライデー」 まとめ
予告編では「謎を解く」とあるのですが、
資金が調達できなかった山崎が自殺した、
ということ自体には謎はないように思います。
彼がなぜ、こうしたヤミ金をやろうとしたのか
資金をどう集めたのか、といったことが取り上げられるのでしょうか?