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インドのニュースサイトscroll.in日本のバーフバリ人気の記事掲載(日本語訳してみました)

映画「バーフバリ」の日本での人気についての記事が、
インドのwebニュースサイトに掲載されました。

掲載にあたっては、
在インドの日本人翻訳家デシュムク陽子さんが、
#インドにバーフバリ叫ぶ
というハッシュタブでツイートすると
インドの記者にそのツイートを届けます、と呼びかけていました。

掲載記事はこちら。

https://amp.scroll.in/article/869223/when-katappa-san-killed-baahubali-san-ss-rajamoulis-films-are-the-latest-fan-favourite-in-japan

ざっと、日本語訳してみました。

白鳥の形をした足こぎボートがある東京の井の頭公園は、
日本でもっともよく知られた有名なデートスポットの1つである。

もし、アマレンドラ・バーフバリがデーヴァセーナとともに井の頭公園を訪れ、
スワンボートに乗っていたらどうなっただろうか?
ハムサ・ナーヴァ(Hamsa Naava)の場面の、空を飛ぶ船のアイデアはこうしてできたのだろうか?

高野しろねこさんのファンアートは、
2つの映画が日本で公開されたのちの、SS ラージャマウリ監督の大ヒットへの賛辞の1つである。

(高野しろねこさんについては、もう二行くらい説明があるのですが、
神奈川県在住、ということ以外、ちゃんと訳せていません。
後日追記するかもしれません)

バーフバリ:
“The Beginning”(2015年)、その続編の”The Conclusion”(2017年)は
2017年4月に”The Beginning”、同年12月に”The Conclusion”が別々に公開された。
日本では1本目は「伝説誕生」、2本目は「王の凱旋」というタイトルがつけられ、
日本では、インドで公開された版よりも短く編集した版が公開された、字幕付きで上映されている。

1本目もファンを獲得したが、続編はさらに大きなヒットとなった。

「王の凱旋」は、日本で「マサラ上映」と呼ばれるインドスタイルの上映会の熱狂を呼んでいる。
マサラ上映では、映画ファンは、叫んだり、一緒に歌ったり、紙吹雪を投げたりする。

こうした上映会での観客の中には、キャラクターの扮装をするものも多い。
インドとは異なり、日本のマサラ上映の観客はほうきと塵取りを持参して、上映後に掃除をする。

ツイッターには、日本のファンが映画のキャラクターに捧げるファンアートやマンガがあふれている。

50年以上日本でノートや雑誌のカバーに掲載されてきた「日ペンの美子(みこ)ちゃんのキャラクター、
美子ちゃんが、バーフバリに恋をして、バレンタインデーにバーフバリの形のチョコレートを作る、という漫画も描かれている。

これほどの人気を呼んでいる理由は、
圧倒的なビジュアル、歌、強さや誇りの価値を重視ししていること、そして、正義が邪悪なものに勝利する、という点が挙げられる。

インドのプネ(Pune)に住む日本人翻訳家のデシュムク陽子さんは、
当scroll.inが日本人のバーフバリファンに接触することを助けてくれた。

たかはし みき(漢字不明)さんは、
「バーフバリでの俳優のタメや見せ場の前の一瞬の間が、歌舞伎でのみえを切ることにも似ている。
そのために、インド映画になじみがなかった観客にもここが重要なシーンなんだ、と分かりやすい」と言う。

「キャラクターの心情の変化があると、クローズアップになって、音楽がバーンと鳴る、マンガ的な演出が、日本人になじみやすかったのかもしれない」

何人かの批評家も、日本とアメリカの古典やファンタジーとの比較をしている。
IGN Japanの山田集佳(やまだ よしかず)氏は、「バーフバリ」はどうして映画館で映画を観なければならないのかを思い出させてくる、と書いている。

http://jp.ign.com/baahubali-2/21869/feature/7

映画批評家の小野寺系氏は、ラージャマウリ監督は、黒澤明やジョージ・ルーカスの精神を引き継いでいると主張する。
そして彼の映画には、黒沢の「用心棒」(1961年)や、「隠し砦の三悪人」(1958年)、
ルーカスの「スター・ウォーズ」に似ているところがある、とする。

http://realsound.jp/movie/2018/01/post-145508_3.html

また批評家の宇多丸氏は、
「バーフバリ」はインドにおける「七人の侍」(1954年)になりうる映画だとしている。
昔のインドを舞台にしながら、世界中の人がその面白さを受け止め、インド映画と言えば「バーフバリ」とされるかもしれないと。

https://www.tbsradio.jp/217873

中心的なプロットは、王子が国から追放され、
平民の一人として生きることを余儀なくされるが、英雄的な冒険の数々の末に
本来あるべき場所に戻る、というもので、
これは、日本で貴種流離譚と呼ばれる伝説や文学の類型と大きく異なるものではない。

日本の民間伝承の専門家、大塚英志氏は、彼の著書”Gymnastics of the Story”の中で、

高貴な生まれの主人公が、生まれてすぐ箱やかごに入れられて川の流れに乗って彼の王国を離れ、
貧しい人々や動物に育てられる、

という貴種流離譚を元にした民話に共通する要素について書いている。

大人になった主人公は彼の家族を再結成しようとし、
同時に復讐が展開される、というものだ。

ラージャマウリ監督と、共同執筆者のk Vijayendra Prasadは
「バーフバリ」の映画の中で、世界中の文化に横断的にみられるこれらの物語の要素をうまく用いている。

また別のファンである、よこもりはなこ(漢字不明)さんによると、
日本人が「バーフバリ」に共感しやすい別の理由は、いつどこなのかはっきりしない昔のインド、という設定にあるという。
「バーフバリ」はヒンドぅー教と仏教が生まれた土地から生じている。

映画にヒンドゥーの図像や儀礼を用いたことが日本人の好奇心を刺激している。

吉咲志音さんは、ヒンドゥー神話を日本人の観客に説明するツイートをシリーズで行っている。
たとえば、
架空の王国、マヒシュマティの中央にあるピラミッド型の王座は、
コナーラクの太陽の寺院に着想を得たものである、など。

また別のツイートでは、
マヒシュマティは太陽神スーリヤに守護されており、シヴァ神の神殿を持ち、
デーヴァセーナの故国クンタラ王国はクリシュナ神を信仰している、としている。

こうした要素はインド人の映画ファンにとってはなじみ深いが、
日本人の観客の中では多くの疑問を生じさせている。

「多くの日本人が『バーフバリ』を見るほど、多くの疑問が生まれます」と吉咲さんは言います。

「なぜシブドゥは巨大な意思を持ち上げて滝の中に置いたのか?
なぜカッタッパは自分の額をマヘンドラに踏ませたのか?
マヘンドラが胸にすりこんだ白いものの力は何なのか?
ゾウに注がれた黄色い粉はなんなのか?
などなど。

多くの日本人は仏教徒なので、インドの文化については知りません。
だからそれぞれのキャラクターの行動の背景がわからないのです」

また、「バーフバリ」は「セクハラ」という思わぬ分野でも賞賛を得ている。

セクハラをしたセートゥパティの指を切り落としたデーヴァセーナは日本の観客から称賛されている。

何にもまして、メインキャラクターを演じたプラバースとダッグバーティのエキゾチックなルックスが
日本人の観客を魅了している。

デシュムク陽子さんは、日本人の観客はハリウッドスターになれているが「バーフバリ」によってインド人俳優の美しさに気漉いた、と指摘する。

プラバースとダッグバーティは日本人の多くの支持者を作り出し、
ファンたちは、彼らの出演作である、

Billa (2009) プラバースとアヌシュカ・シェッティが出演

Leader (2010) ダッグバーティが出演

などの作品も見つけ出している。

デシュムク陽子さんによれば、「バーフバリ」のキャラクターや俳優たちは
1998年に「ムトゥ 踊るマハラジャ」が公開された時のラジニカーントと同じように、
日本人ファンの崇拝を集めている、という。

「バーフバリ 王の凱旋」ヒンドゥー語版のトレーラー



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